年輪を重ねることはそれなりに愉しい人生年輪を重ねることはそれなりに愉しい人生


「人生は、春夏秋冬の季節のようなもの」 辺 真一(ピョン・ジンイル)氏

 今回は、テレビ・ラジオのコメンテーターとして、また韓国・朝鮮問題のジャーナリストとして、そして「コリア・レポート」編集長など、各メディアで幅広くご活躍している、辺真一氏の芝大門に程近い瀟洒な事務所をお訪ねしました。普段、TVで拝見する辺編集長は少し近寄りがたい印象だったのですが、お忙しいにもかかわらず、にこやかな表情で迎えていただき虚をつかれた感じになりました。


本来は明るいタイプなのですが、「怖いタイプ」とみられているようです。

お忙しいところ申し訳ありません。今回は普段テレビやラジオなどで知られる辺さんと違う角度から、主に生き方や普段の生活についてお伺いしたいと思っています。よろしくお願いします。

辺編集長:
よくいらっしゃいました。普段受けるインタビューと多少勝手が違いますが、お話できることは何でも言いますから、遠慮なく質問してください。ところで、「トントンクラブ」というのはどういう媒体なのですか?

最初から逆取材になってしまいました。 「TonTon club」は、中高年の様々な問題を取り上げて情報提供するWebサイトです。日本は、後10年もしないうちに人口の半数以上が60歳を超える高齢社会になる、と予想されています。団塊世代前後の方々や、それに続く方々にお役に立てる情報を提供していくつもりです。

辺編集長:
わかりました。さあ、始めましょう。
(インタビュアーがお茶の接待を受け、親切に勧める辺編集長の気配りの表情が優しい)

辺編集長はテレビ、ラジオ、雑誌などのニュースコメンテーターとしてマスコミに出ない日がないといわれるほど活躍されていますね。

辺編集長:
おかげさまで、多くの媒体から声をかけていただいて、評論家冥利に尽きるといいたいところですが、何しろ拉致に核、ミサイルと重いテーマなので、どうしても表情が暗くなってしまいます。本来は明るいタイプなのですが、お茶の間の皆さんからは「怖いタイプ」とみられているようです。(笑)

数多くのメディアに出演されていて、常に緊張感があると思います。精神集中などの秘訣などはありますでしょうか?

辺編集長:
特別、精神を集中させる行動ということはありません。私の発言が曲解されたり、誤解されたりしないよう神経は使っています。視聴者をあまり意識すると、迎合したり、抽象的な話になってしまう恐れがあるので、とにかく何を言われようと、自然体で自分の考えをはっきり伝えることだけを心がけています。

ジャーナリストとして、自分の意見を広く紹介したいというのは、ジャーナリストの性です。

「コリア・レポート」の創刊はいつ、どのようなきっかけだったのでしょうか?

辺編集長:
私は大学を卒業してからずっと文筆業の世界に身をおいていました。しかし、どの世界も会社組織と個人的営業は全く違って、マスコミ業界も同じだと思うのです。ジャーナリストとして自分の意見を広く紹介したいというのは、ジャーナリストの性です。特に私の場合は、祖国が南北に分かれているという現状に心を痛めていましたので、ジャーナリストの立場から、また、日本という中間的な立場からメッセージを発信したいという思いからこの道を選びました。

「コリア・レポート」編集長をはじめ多くの仕事をされています。日頃どのように情報収集をしていらっしゃるのでしょうか?

辺編集長:
それは企業秘密です(笑)。正確な情報を発信しなければなりませんから、できるだけ幅広く、各分野から取材を行い、また私独自のネットワークからの情報収集、海外の連絡網からの情報提供などがおもなニュースソースです。それらを勘案し総合的に判断して、私の意見として発言するわけです。

さて、辺編集長は仕事を離れた時には何をされているのですか?

辺編集長:
私は基本的には無趣味な男でして、休みにゴルフをしたり釣りに行ったりということはしません。飽きっぽい性格のせいかもしれませんが(笑)。暇なときは、井上陽水や安全地帯のCDを聴いたり、時にはクラシックのコンサートに行ったりしています。それと大の格闘技好きで、ボクシングの放送は必ず観ます。そのためにWOWOWに入ったほどですから・・・(笑)。

今1番やってみたいことは何ですか?

辺編集長:
ゆっくり寝たい・・・まず、それですね。

健康維持のためには、どのようなことをされていますか。

辺編集長:
特別ありませんが、TV出演、地方講演などが続いていますから、できるだけ睡眠不足にならないよう注意しています。また、自宅で時間があるときには少し早歩きの散歩をします。ずいぶんと少なくなりましたが、自宅近辺には武蔵野の面影を残した林や、芝畑、緑陰公園などがあって、散歩には最高の環境なのですね。そして、疲れた時に、喫茶店やファミレスで一杯のコーヒーを喫するとほっと安らぎを感じます。安いストレス解消ですね(笑)。

プラス、マイナス、ゼロの人生が一番ではないでしょうか。不幸の次は幸が必ず訪れます。

辺編集長にとって「人生の年輪を重ねること」はどんなことだと思われますか?

辺編集長:
うーん(しばらく腕組みをして)。難しい質問ですね。この歳まで、自分で言うのもなんですが、一生懸命生きてきたつもりです。人生を振り返ってみれば、ずいぶん無駄な時間をかけて遠回りしたなということと、子供の成長をみると比較的いい人生を送ってきたなというのと、2つの感慨が交錯しています。まさに木の年輪の如く、寒い側の薄さと暖かい側の厚さをみれば人生裏表という思いでしょうか。ただ、今はまだ人生半ば、下り坂ではなく、今も上り坂を登っているという気持ちでいます。

人生を愉しく過ごすコツなどがありましたらお伺いしたいと思います。

辺編集長:
人生を愉しく過ごすコツなどまだ分かりませんね。まだ十分若いつもりですから(笑)。強いていえば、楽観的に考えること。例えば、転んで膝を打っても、自動車事故に遭わないで良かったと前向きに考えることです。先日、管制塔のトラブルで羽田の離着陸が大幅に遅れる騒ぎがありましたが、あの日、私も大分空港で3時間足止めされました。最初は「ついてない」と思ったのですが、すぐに「飛行機が落ちないで良かった」と頭のギアをチェンジ。このように、前向きに、考えると、イライラもフラストレーションもたまりません。それとプラス、マイナス、ゼロの人生が一番ではないでしょうか。良いことも、悪いことも長くは続きません。不幸の次は幸が必ず訪れます。
人生は春夏秋冬の季節のようなものです。

辺編集長のこれからの夢や目標は何ですか?

辺編集長:
当面、私のワークエリアである日韓・日朝の両国間で問題解決が進んで平和な交流ができることを切に望んでいます。後は月並みですが家族が健康で平穏な生活を過ごせるよう望んでいます。それと私が責任編集している「コリア・レポート」の部数増です(笑)。
皆さんも読者になってください。

最後に、辺編集長が生きるうえで座右の銘にしている言葉などありましたらお願いします。

辺編集長:
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・「忍耐」です。

本日はお忙しいところありがとうございました。


辺 真一氏のプロフィール

1947年東京生まれ。明治学院大学卒業。新聞記者を経て、1982年に朝鮮半島専門誌『コリア・レポート』を創刊し現在も編集長を務めている。朝鮮問題のコメンテーターとして、TV、ラジオ出演などマスコミ各界でご活躍されている。
主な著書に『一触即発の三八度線』『表裏の朝鮮半島』『朝鮮半島Xデー』『北朝鮮亡命730日ドキュメント』『北朝鮮100の新常識』『韓国人と上手につきあう法』他、訳書に『潜航指令』など多数出版されている。




「コリア・レポート」の購読申し込みおよび見本誌ご希望の方は、郵送先の住所・氏名(法人契約の方は会社名)・電話番号また「TonTon clubで見た」とご記入のうえFAX 03-5730-2941でお申し込みください。



TonTon インタビューを終えて

 辺編集長とはお会いする前、TVで拝見しただけなので少し緊張してお伺いしました。しかし、終始笑みを絶やさず、ていねいに応答していただき、TVの画面から怖いタイプの方という風に誤解していましたが、非常に親しみやすい方という印象を受けました。
 日々難しい問題を身体全体で受けとめている厳しさを、時折感じさせる“ジャーナリストの顔”と、お子さまの話をされている“普通の父親の顔”とを拝見し、ちょっと安堵した気分になりました。また、お邪魔した事務所は本や資料がきちんと整理されていて、辺編集長のTVで見る几帳面な一面がさらにオーバーラップしたのが印象的でした。