JR品川駅高輪口、第一京浜の信号を駅の向かいに渡り<左折>しばらく直進。道なりに<右折>、御殿山交番が見えたところで小道を<左折>。閑静な高級住宅地に足を踏み入れると「原美術館」のお目見えだ。
1979年、財団法人アルカンシェール美術財団を母体とし現代美術の専門館として開館。館長は原俊夫氏。A・ウォーホール、ジャン=ピエール・レイノー、ソフィ・カル、草間彌生、横尾忠則、須田悦弘、束芋など850点を超える国内外の作品を収集する。
外観:かつて伊藤博文も屋敷を構えた閑静な住宅地にある美術館。建物は20世紀初頭のヨーロッパの建築様式を取り入れた個性的な洋館 |
庭のオブジェもゆっくり愉しもう 《飯田善國「風の息吹き」1980年》 |
〒140-0001 東京都品川区北品川4-7-25 TEL:03-3445-0651 FAX:03-3473-0104
アクセス |
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JR品川駅高輪口より五反田方面へ徒歩15分/タクシー5分 |
休館日 |
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月曜日 (祝日の場合翌日、展示替え期間休、年末年始)
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開館時間 |
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11:00-17:00 (祝日を除く 水曜日は20:00まで。入場は各30分前) |
入場料 |
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一般 ¥1,000(20名以上は1人¥100引) 高・大生 ¥700
小・中生 ¥500(学期中の土曜日は小中高生の入館料無料) |
URL |
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「誰かの家にお呼ばれしたみたい…」と感想を抱く人も多い。 もともとトイレだったスペースに設けてしまった作品。作家自らポーズをとり石膏で型を取った。肌色の便器は特注。「自画像」をテーマに作品を作り続ける作家は、トイレと合体し「自画像」としてしまった。「今でも水が流れてトイレとして機能するのですよ」。 |
館内階段:暗い日本家屋から「コンパクトで光ある家を」と原夫人の希望で洋館は建てられた |
館内廊下:ゆるやかにカーブする廊下を歩いて展示室を巡る。壁の展示もゆっくり愉しみたい |
それもそのはず。もとはこの建物、館長・原俊夫氏の祖父・原邦造氏の私邸だった。 |
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「当時は非常にモダンな建物だったのでしょう。埋め立てが現在ほど進んでなく、建物から東京湾が一望できたそうです。その頃、同敷地内に純日本家屋があり、庭に点在する石灯篭はその名残ではないかと思います」と広報・野田ユミ子さんは説明する。 小さなモニターに映るさまざまな映像は「情報が氾濫する現代社会を象徴する」かのよう。美しくも恐ろしくもある「メディア」のパワーは観るものを圧倒する。作家は06年1月に逝去したビデオアートの国際的先駆者。訃報の際は追悼の表示を小さく添えた。 |
戦後はGHQに接収、米将校の宿舎となる憂き目にあう。その後、諸外国の大使館としても使用された。<This Water unfit for drinking>今も残る小さな張り紙だ。2階の暗室として利用されたとおぼしき小部屋の蛇口脇にある。おそらく当時建物を使用していた外国人によるのであろう注意書は、建物の歴史をしのばせる。 |
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暗闇を覗き込むと、むき出しの水道管に絡みつく椿が妖艶な美を放つ。「飲めない水」が脈々と流れ、花の生命力となっているのか。既存空間に作品を配し物語性を与える「インスタレーション」の逸品。「花」は季節に合わせて展示替えができるよう計画中。
「その後解体計画が持ち出されますが、あまりの建物の頑丈さゆえでしょうか、断念されました」 |
06年9月9日(土)から10月22日(日)まで、企画展「アート・スコープ2005/2006」―インターフェース・コンプレックスを開催、4人の日独アーティストの異文化体験に基づいた作品が並ぶ。また、05年11月~06年3月の個展が大好評だったオラファー・エリアソンの常設展示の計画も進行中というのは、ファンには嬉しい情報だ。 |
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「カフェ ダール」では、展覧会にあわせた「イメージケーキ」(735円)や週末限定の「ガーデンバスケット」ハウスワイン フルボトル1本にハーブフランクやポテトやサラダ、フルーツなど(季節によって変更、数に限りあり。2名様で2,940円)が好評。「ザ・ミュージアム ショップ」では、「アートのエッセンスを生活に」をコンセプトにユニークなデザイングッズなどを取り揃える。 |
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※カフェ&ミュージアム・ショップのご利用は、原美術館にご入館いただく必要があります。 |
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アートライター。明治学院大学大学院文学研究科芸術学専攻博士課程前期修了。専門は日本近世(江戸時代)絵画。その他、洋の東西を問わず美術、映画、音楽、演劇、文学など幅広く芸術全般に詳しい。
●URL● http://www.e-rena.net