さて、「ジャズ」というと、何かとてつもなく難しく思ってしまうかもしれませんね。そこで、その中でも一番皆さんに馴染み深いと思われる『スウィング・ジャズ』をご紹介し、いくつかのジャズ・スタイルの中からその位置づけを紹介します。
ジャズが誕生して100年余り。ものすごいスピードでスタイルの変遷を遂げてきたジャズですが、大別すると「ディキシー」、「スウィング」、「モダン」の3つに分けられます。このうちディキシーとスウィングはダンスにも適しており、モダン・ジャズはどちらかというと鑑賞用の感があります。
古来、音楽と踊りは密接な関係にあり、とくに、スウィング・ジャズはダンス・バンドとして発展したこともあわせて、つまりはとても踊り出したくなるようなワクワクするリズムとサウンドをもっているのです。昔、皆さんが観た映画のサウンドトラックや、ラジオでしばしば聴き慣れたメロディーに『スウィング・ジャズ』の名曲がたくさん含まれています。
特に、映画『グレン・ミラー物語』(1953年/アンソニー・マン監督)、『ベニー・グッドマン物語』(1955年/ヴァレンタイン・デイヴィス監督)、『愛情物語』(1956年/ジョージ・シドニー監督)、『五つの銅貨』(1959年/メルヴィル・シェイヴィルスン監督)等ご覧になった方は多いと思いますが、その中にお馴染みの名曲がキラ星のごとく挿入されていました。「ムーンライト・セレナーデ」、「真珠の首飾り」、「メモリーズ・オブ・ユー」、「レッツ・ダンス」、「トゥ・ラブ・アゲイン」、「マンハッタン」「ファイヴ・ペニーズ」など、題名を聞いただけであのシーンを思い出される方も多いかと思います。