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- Vol.10 ミニ盆栽を始めよう
アメリカで盆栽の人気を目のあたりにした藤田氏は、日本の盆栽界を活気づけようと一念発起し、それまで日陰ものだったミニ盆栽に注目。そして、原宿にショップを開き、ミニ盆栽の普及に取り組んだ。今の盆栽ブームを支えているミニ盆栽への思いを聞く。
まずは盆栽に興味を持つようになったきっかけについてお聞かせください。
藤田店長(以下、敬称略):もう20年前になりますが、1989年にアメリカのディズニーワールドのジャパンパビリオン(日本館)で1年間働いたことがありました。パビリオンの目的は着物や茶碗、線香、真珠といった日本の伝統文化を紹介することでしたが、たまたま私は盆栽セクションに配属され、海外のお客様に盆栽を売ることになったのです。それが盆栽との直接的な出会いです。23、24歳の頃ですね。 盆栽に対する外国人の反応はいかがでしたか。 藤田:幸運にも外国の方の盆栽に対する評価や感想をじかに聞くことができたのですが、「カッコイイ」とか「ビューティフル」とか賞賛の声をたくさん聞きました。実際、売れ行きも良かったです。そこで初めて、海外では盆栽が大人気であることを知ったんですね。 帰国後の1992年、原宿のオリエンタルバザールに盆栽ショップをオープンされました。盆栽を個人的な趣味にとどめずに、ビジネスにしようと思われたのはなぜですか。 |
藤田:アメリカから帰ってきたら、東京では盆栽が全然注目されていませんでした。せいぜいデパートの屋上の片隅で売られているくらいで。これでは盆栽界の未来がないなと。で、まだ若かったものですから自分が火付け役になろうと。当時は盆栽を商売にしている若い人がいなかったのでビジネスチャンスがあるかもしれないと思ったわけです。海外であれほど人気なのだから、東京でももっと人気が出ないとおかしいとも思いました。
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お店を出す時に、原宿を選ばれたのはなぜですか。 藤田:店を出したオリエンタルバザールは、アジアンテイストの小物を販売していて、外国人観光客が集まるんですね。私としては外国人相手の接客には慣れていましたし、注目されるのではないかと思ったわけです。主にミニ盆栽を販売したので売れ上げはそれほどでもありませんでしたが、店の存在が口コミで広まって、「ミニ盆栽っていいね」という風潮が出来上がっていったんですね。 まさに「ミニ盆栽ブーム」の火付け役を果たされたのですね。ところで、いわゆる「盆栽」と、藤田さんが普及に取り組まれている「ミニ盆栽(ボンサイアート)」の違いは何ですか。 藤田:もともと「ミニ盆栽」は存在していたんです。ただ、1鉢で何百万もする大きな盆栽に比べると、単価が安くて商売にならない。だから目立たない存在でした。でも、これから盆栽を始めようという初心者に、大きくて、年数が経っていて、見るからに威圧的な盆栽を勧めても難しいですよね。そこで、注目したのが「ミニ盆栽」。小さくて、オシャレで、かわいらしくて、手に入れやすい「身近な盆栽」です。これなら女の子も扱えるし、ワンルームに気軽に置いてもらうこともできるだろうと。ミニ盆栽に力を入れないと、いろいろな人に盆栽をアピールするのは難しいと思いました。 |
原宿のお店をクローズして、現在ではBONSAI BARを経営する傍ら、ネットショップで盆栽を販売されています。お客様の反応はいかがですか。
藤田:若い人の注文が増えて、客層の広がりを感じています。皆さんの植物ライフの中に、盆栽がしっかりカテゴライズされたのではないでしょうか。「盆栽ってカッコイイね、かわいいね」という認識が浸透して、暮らしの中に自然に溶け込んでいるように思います。地味で、お年寄りの趣味という古臭い盆栽のイメージが払拭されたということでしょう。ここまで盆栽に対するイメージが変わってきたのは、「マン盆栽」で知られるマンボミュージシャンのパラダイス山元さん※1や盆栽作家の小林健二さん※2といった方々の影響も大きいと思います。 |
今のエコブームも、盆栽人気とどこかでつながっているような気がします。 藤田:観葉植物と違って、盆栽は基本的に屋外で育てるものです。毎日水やりをしたり、陽に当てたり、年数が経てば植え替えをしたりと手をかけてやる必要があります。そうして世話をする中で、「土って大事だよな」とか、いろいろ想像したり発見することがあると思うんです。ですから、盆栽を育てることを通して、環境を考える意識が芽生えるのはとても自然なことですよね。 「育てる」という話が出ましたが、あらためて盆栽の魅力や楽しみ方はどんなところにあるとお考えですか。 藤田:盆栽には、創る楽しみ、飾る楽しみ、観る楽しみがあります。たとえば、20~30歳代は創る、40~50歳代は飾る、60歳代以降は観ることを中心にして、一生を通じた楽しみ方もできます。一本の木を育てながら、いろいろとイマジネーションを広げる楽しみもあります。旅先で出会った松の木に、自分の盆栽の松の姿を重ね合わせたり、松の木から松林が広がっていた海辺の風景や記憶を思い起こしたり…。盆栽を育てるようになって、森や林や水や太陽について考えるようになったという人もいるでしょうね。それに、手をかけて育てていると、慈しみが出てきます。10年も経っている木なのだから、枯らすわけにはいかないぞとか。世話して育てることへのモチベーションを保ちやすいのも盆栽の特長ですよね。 父から子へ、世代を超えて育てることができるのも盆栽の魅力ですね。 |
藤田:そうですね、木は長生きですからね。自分が死んでも、木は生きている。自分より長く生きる可能性を秘めた木を育てるというのも盆栽の大きな魅力です。たとえば、趣味として高価な時計やクルマ、ダイヤモンドなどを持っていたとします。クルマはだんだん朽ちてきますね。ダイヤは朽ちないけれど、全く形が変化しない。でも、盆栽は年を経るごとに幹が太くなり、枝が形を変えて変化していく。手入れさえしてやれば、姿かたちが良くなっていくんです。何十年と育てられるのは、盆栽だけじゃないですか。そうした意味で、盆栽の存在価値は非常に貴重ですよね。
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※1 パラダイス山元
フィギュア(人形)を使って盆栽にドラマを演出する「マン盆栽」の家元。作詞・作曲家、ラテンパーカッショニスト、カーデザイナーなど多彩な顔をもつ。著書に『ザ・マン盆栽』(文春文庫PLUS)、『ザ・マン盆栽 百景』(扶桑社)など。 ※2 小林健二 新しいスタイルの盆栽「景色盆栽」の創作を手がけ、盆栽界に新風を吹きこむ。東京・自由が丘に「品品(しなじな)」という盆栽ショップを開店。テレビ、ラジオ、雑誌などマス媒体を通じて、景色盆栽の普及に取り組んでいる。 |
東京・恵比寿にBONSAI BARというユニークなお店を開いたのが8年前。「BAR」と「盆栽」という一見異質なものの組み合わせは、じつは「癒し」という点で大きな共通点を持っていた。今や外国人の観光スポットとしても知られているBONSAI BARの愉しみ方をお伝えする。
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2001年3月、東京・恵比寿にBONSAI BAR「盆さいや」をオープンされました。BONSAI BARというユニークな発想は、どこから生まれたのですか。
藤田:BARというのは、お酒を飲みながらゆったりとした時間を楽しむ特別な空間です。そうしたBARのもつ空間の特性が、盆栽と接する上でもちょうどいいなと思ったわけです。盆栽には癒し効果があるので、仕事帰りのサラリーマンがストレスを解放するのにも向いています。 BONSAI BARでの、盆栽の楽しみ方を教えてください。 藤田:お店に来ていただいたら、好きな盆栽の鉢を選んで、テーブルに持っていってください。そして盆栽を鑑賞しながら、お酒を楽しんでいただきます。傍らの盆栽を眺めつつ、会話を楽しんだり、リラックスした時間を過ごしていただければ嬉しいですね。 |
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お客様に人気の盆栽はありますか?
藤田:「松」が一番ですね。次に、赤い実をつける「紅したん」などが人気です。 外国人のお客様もいらっしゃるようですね。 藤田:おかげさまで、外国の方にはちょっとした観光名所になっています。東京の観光スポットを紹介した英語版のパンフレットなどに、「盆さいや」が掲載されているみたいで。なにしろ「BONSAI」は世界の共通語になっていますからね。また、全日空で展開しているキャンペーンのひとつ、「メイドインTOKYO」でも紹介されており、東京観光のオプションに加えていただいています。 |
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お店は、盆栽体験スポットになっているのですね。
藤田:実際、盆栽を手にすると、鉢の形や重みなどが感じられるじゃないですか。ある種の盆栽体験ができるんです。希望される方には盆栽レッスンも行なっていますので、盆栽を始めるきっかけにしていただきたいですね。日本の文化であり、かつ世界の盆栽ですから、ぜひ1回はチャレンジしてください! 盆栽レッスンは、どのように行なっていますか。 |
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藤田:定期的ではなく、お客様の要望があった時に行なっています。企業や学校、地域の集まり、個人宅などへ出張レッスンもしています。盆栽の販売は15年ほどやってきたので、今後はレッスンに力を入れたいですね。ネットショップだと商品を販売するだけで終ってしまいがちですが、盆栽は生きものですから、育てるという部分を大切にしたいんです。鉢の中の構造や木の特徴など基本的なことを伝えられるのもレッスンですから。
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ネットショップでは、盆栽を購入されたお客様のアフターフォローもされているようですね。
藤田:「盆栽デジタルクリニック」というお客様の相談窓口を設けています。「桜の葉に穴が空いてしまったけれど大丈夫でしょうか」とか「虫がついてしまったけれど、どうしましょう」といった質問を、デジカメで撮った写真と一緒にメールで送っていただき、それに対してアドバイスをさせていただいています。初心者の方は、わからないことだらけですからね。 |
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「盆さいや」の今後の展開と夢をお聞かせください。
藤田:近い将来、「盆さいや」の2号店をニューヨークにオープンする予定です。店を出すにあたっては、ただ盆栽だけ飾ってアメリカ人に店を任せる形にはしたくありません。やはり盆栽という日本の文化は、日本人が伝えなければ。ニューヨークで、東京の盆栽の今を表現するのも面白いかもしれません。東京は盆栽に関しても進んでいると思わせたい。世界の中心で盆栽を叫ぶ!のが夢ですね。 |
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5年ものの黒松の苗木を使って、ミニ盆栽づくりにチャレンジしよう。時間にして1時間もあれば、世界にひとつしかない、あなただけのミニ盆栽ができあがる。すでにできあがった盆栽を買うのと、一から作るのとでは盆栽への愛着もおのずと違ってくるはず。さあ、さっそく始めよう!
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盆栽を代表する木、「黒松」を使います。黒松は枝の形を整える針金をかけやすく、初心者の方でも扱いやすいのが特長です。
苗木の選び方としては、①幹の下の方から枝分かれしているか②葉に勢いがあるか③芽が備わっているか④病気にかかっていないか、などがチェックポイントです。そして、4~5年ものの苗木を選ぶとよいでしょう。苗木はホームセンターや園芸店で販売されています。 |
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用意するもの
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作り方の手順
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