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- Vol.7 有田・伊万里(佐賀県)
有田・伊万里(佐賀県有田町・伊万里市)日本の磁器発祥地・佐賀藩の一大陶磁器生産地と陶磁器の積出港
400年の歴史を有する焼物の里、有田と伊万里の町並みを訪ねて
有田焼や伊万里焼で有名な佐賀県。今回は、佐賀県が誇る400年の歴史を有する焼物の里、有田と伊万里の町並みを訪ねます。
佐賀県北西部、「有田焼」で知られる陶磁器の町・有田は、日本の磁器誕生の地であり、伝統的な商家の町並みが残ります。有田の北、山一つ越えた伊万里は焼物の伊万里焼の里として知られていますが、伊万里焼という言葉はもともと有田焼など肥前の磁器を送り出す積出港を指す言葉でした。
有田・伊万里に、唐津~呼子~秀吉朝鮮出兵の拠点・名護屋城跡を含めた肥前の旅は、嬉野温泉や武雄温泉での宿泊を絡めると、とても魅力的なものになります。
磁器発祥の地・有田
世界にその名を知られる陶磁器の産地・有田の町は、訪れると意外とひっそりした佇まいに驚きます。郊外には有田焼の直売所やテーマパークもありますが、中心街は小売店が連なり、歴史のある産業町らしい町並みにかえって好感が持てます。なお、1991年には佐賀県で初めての重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
戦国時代までの有田は深山幽谷の地で、集落すらありませんでした。この地が大きく変わるきっかけは17世紀、豊臣秀吉による朝鮮出兵(文禄の役)です。この戦争で多くの朝鮮陶工が有田の地に連行されました。その中の1人に有田焼の祖、李参平(生年不詳- 1655年)がいました。李参平が泉山の白磁鉱を発見して以後、陶磁器の生産は拡大し、有田は一大窯業生産地へと発展していきました。
有田の町には古い家並みがそのまま残っていて、窯元をめぐる散策も味わい深いものがあります。かつて赤絵付け職人を集めて厳しい管理下に置いたという赤絵町には、江戸時代からの陶商屋敷やレトロな洋館が点在し、町並みが時代の変遷を語りかけます。江戸時代の石倉を改造した「有田陶磁美術館」には、17世紀前半に焼かれた初期伊万里、その後の古伊万里、色鍋島、柿右衛門などが展示されています。
この辺りの細い道には、解体した登り窯の煉瓦や壊れた器を埋め込んだトンバイ塀が続いて、煉瓦に付着した釉薬が独特の風趣を醸しだします。今右衛門窯・香蘭社・深川製磁などの各窯元の展示館に立ち寄りつつ歩く、焼物三昧の旅は有田ならではの楽しさです。有田焼の華やかな赤絵を完成させた酒井田柿右衛門の窯元は、藁屋根に白壁が映える瀟洒な建物で、「世界の有田」として刻んできた歴史を感じることができます。
佐賀県立九州陶磁器文化館は「焼物紀行は佐賀県立九州陶磁器文化館に尽きる」と言っても過言でない、私が全国の博物館・美術館を訪ねた中でもベスト3に入る秀逸な博物館です。有田駅前の小高い丘に建つ同美術館は、九州各地の古陶磁から現代作家の作品までを展示し、陶磁史をわかりやすく解説しています。とくにヨーロッパ王侯貴族が愛した古伊万里を集めた蒲原コレクションや、江戸時代の有田焼を一堂に集めた柴田コレクションは一見の価値ありです。
積出港伊万里から最高級品「鍋島」を産出した秘窯の里へ
伊万里焼で知られる伊万里は、藩政時代に有田などで作られた陶磁器の積出港として繁栄した港町です。現在、伊万里市の中心部に伝統的な建物はありませんが、当時は川沿いや街道沿いに陶器商人の商家や蔵が建ち並んでいたといいます。
陶磁器の移出が活発になると、密輸を行う商人も増えたために、佐賀藩は元禄年間に伊万里心遣役を設置し、有田皿山代官との連携で密輸販売などの取り締まりと秩序の維持に努めます。さらに、国内販売の取り締り統一のために伊万里市場でのみ取引することを定めました。
有田で生産されていた有田焼は、主に伊万里の港から船積みされたため、伊万里焼として知られていました。今に知られる有田焼ブランドが確立するのは、明治30年に九州鉄道長崎線の開通してからのことで、有田駅の開設によって陶磁器の集散地が伊万里港から有田へ完全にシフトしたことによります。それに伴い、伊万里港は衰退していきました。有田で生産された陶磁器が直接現地から運び出されるようになると、有田焼の名が広がることになりました。そのため、明治以降の有田焼に対して、伊万里から積み出された時代の有田焼を古伊万里と呼んでいます。
江戸時代に大火に見舞われたのを機に、防火効果がある白壁土蔵造りが取り入れられ、伊万里は当時、重厚で趣のある町並みを誇っていました。現在、伊万里市内にその面影を留める町家は、文政8年(1825)頃に建てられた大塚家だけになっています。修復された建物は「伊万里市陶磁器商家資料館」として公開されています。
伊万里川にかかる伊万里津大橋の欄干には絢爛豪華な壺が一対あり、どちらも古伊万里を再現したものです。また、延命橋にはひょうたんなまずの唐子と碁盤の上に座る唐子の像、相生橋には南蛮屏風と壺と、焼物は町のアクセントになっています。
伊万里から車で15分、切り立った奇岩が迫る谷間にたたずむのは、秘窯の里・大川内山です。17世紀後半、鍋島藩は人の出入りを厳しく監視して陶磁器の技術を秘すため、有田にあった藩窯(はんよう)を大川内山に移します。ここは江戸初期から幕末に至るまで、佐賀藩の御用窯があった場所でもあり、精巧な作品は「鍋島」というブランド名で全国に知られ、朝廷や将軍・諸大名に献上する最高級品として珍重されてきました。
大川内山には独特の町並みが広がっています。ほぼ全てが窯元あるいは陶器店で占められていて、秘窯の里にふさわしい佇まいを保っています。石畳の道沿いには約30軒の窯元が軒を連ね、それぞれの作風を見ながら歩く楽しさは格別です。洋風建築風のものが町の所々に見られるのも、明治時代以後にも焼物を求めて多くの客がここを訪れ、繁栄していたことを示しているようです。
アクセス
交通 |
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問い合わせ先 |
有田観光協会
TEL:0955-43-2121
伊万里市観光協会
TEL:1955-23-3479 |
関連リンク
- 有田観光協会
- http://www.arita.jp/
- 伊万里市観光協会
- http://m2.hachigamenet.ne.jp/~i-kan2/
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