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- Vol.9 美濃市・郡上八幡(岐阜県)
美濃市・郡上八幡(岐阜県美濃市 / 郡上市(旧八幡町))城下町から栄えた美濃北部の一級品の町並み二つ
一級品の歴史的町並み
南部の旧美濃国と北部の旧飛騨国からなる岐阜県美濃地方には、美濃と郡上八幡という一級品の歴史的町並みが残っています。今回はそれぞれ趣の異なる2つの町を、長良川鉄道沿線に乗って訪ねていきます。
うだつが連なる町・美濃市
岐阜市の北東、高山本線長良川鉄道で約17㎞のところに美濃市はあります。1974(昭和29)年に市制を敷いた中濃地方の中心部ですが、人口は2万人ほどの小さな町です。
美濃市街地には、江戸時代から明治初期にかけてつくられた「うだつ(卯建)」の上がる家を中心とした、古い町並みが保存されています。「うだつ」とは、屋根の両端を一段高くし、火災の時の類焼を避ける防火壁のこと。時代とともに装飾としての意味合いが強くなり、うだつ軒飾りを豪華にすることによって、その家の富を象徴するものになりました。「うだつが上がらない」の語源でもあります。
うだつの上がった家は関東以北ではほとんど見られず、西日本では徳島県の美馬市脇町、つるぎ町、貞光町が有名ですが、その数は減る一方です。ここ美濃市ではうだつを上げた商家が十数棟残っており、全国でも貴重なものとなっています。
美濃市は、長良川のちょうど谷口にできた町で、飛騨・高山城主だった金森長近氏が小倉山に城を築き、上有知(こうづち)と呼ばれた城下町でした。長良川を利用して水運が発達し、特産の美濃和紙や生糸の集散地として大いに栄えました。
在城10年で金森氏の家は断絶し、上有知の町は一時幕領となりましたが、尾張藩領となって明治時代を迎えます。その後、交通の要衝として郡上・飛騨への物資集散地となり、さらに岐阜・桑名方面へ荷を運ぶ舟運の発達で商業が大繁盛し、中濃屈指の町へと発展しました。
この町はたびたび火災に見舞われました。1723年(享保8年)には、町が全滅したこともあったそうです。そのころから町民の防火意識が高まり、うだつの上がる家々が増え、一番町・二番町の道幅を従来の二間から四間に拡幅し、現在の町並みが形成されました。
うだつの上がった家々が軒を連ねる町並みは、本住町・常盤町・相生町・泉町・魚屋町など、至るところで見ることができます。美濃のうだつは本うだつと呼ばれ、四国の袖うだつとは異なり、隣家との境の妻壁を上にのばして小屋根を設けたのが特徴で、東海各地で多く見られます。特にうだつの先端には破風瓦(はふがわら)や懸魚(けぎょ)という飾りがつけられ、時代が進むにつれ、豪華になっていきました。泉町の旧今井邸、本住町・魚屋町の松久邸や旧武藤邸、相生町の酒蔵「百春」の小坂酒造場など、立派なうだつを拝することができます。
水の城下町・郡上八幡
一般に郡上八幡として知られる郡上市は、岐阜県のほぼ中央、美濃市の北に位置します。2004年に郡上郡7町村が合併して市になりました。「八幡」は奥美濃の中心地として発展した城下町、郡上郡八幡町に由来するものです。
古くは交通の要衝として栄え、戦国時代に遠藤氏が八幡城を築いてからは、奥美濃中枢の城下町として発展してきました。現在では観光スポットの1つになっている八幡城に登り、町を見下ろしてみると、狭い平地の中央を吉田川が流れ、川に沿って屋根甍がぎっしりと並んでいるのがわかります。
城山から下って歩いていくと、そこは柳町や職人町、鍛冶屋町といった古い町並みが広がります。町名も江戸時代から変わらなければ、その道筋も昔のまま。袖壁と紅殻(べんがら)格子の家々は、大正時代の大火直後に競って建てられたそうですが、町を少し歩いただけで100年や200年前の歴史を紐解くことができるような高揚感を覚えます。今は多くの観光客でにぎわっていますが、この町の真の魅力は観光客の往来する通りから一歩入った横路地や、水のある風景など、生活と密着した風景が随所に残っているところにあると思います。
さらに、この町の歴史を語り継ぐものに、水路があります。江戸時代のこの地を治めていた藩主・遠藤常友が、大火災をきっかけに柳町用水や島谷用水を開き、さらにその水を分水するため、小水路を町なかに巡らせました。それ以降、300年以上の長きにわたり、生活用水として使われています。もともと谷川の水や湧水に恵まれている土地なので、澄み切った水が水路を流れ、その水を活かした小公園が市街地の25カ所、数珠状に配置されています。また、「いがわの小径」や「やなか水のこみち」といった水を活かした都市景観づくりを進めてきた結果、今では「清流と名水の城下町」と讃えられるようになりました。
全国名水百選の一番手に選ばれた「宗祇水」は、室町中期の連歌師・飯尾宗祇の名にちなんだもの。宗祇がこの泉のほとりに草庵を結んだことに由来します。その湧水口には、注連縄を張って水の神様を祀った祠があります。この祠をはじめ、町の中のどの水路にはゴミ1つ落ちてなく、美しい水と歴史的な町並を守っていこうという、郡上八幡に暮らす人々の気概が感じられます。
なお、夏の夜を彩る「郡上おどり」は7月中旬から9月上旬の31夜、町内各所の縁日で催され、とくに8月の徹夜踊りは、毎年大勢の観光客で賑わいます。
アクセス
交通 |
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問い合わせ先 |
美濃市観光協会
TEL:0575-35-3660
郡上市観光連盟
TEL:0575-67-1808 |
マップ
関連リンク
- 美濃市観光協会
- http://www.minokanko.com/
- 郡上市観光連盟
- http://www.gujokankou.com/
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