懐かしい歴史の町並み探訪 Vol.6 真壁・筑波山麓(茨城県桜川市/つくば市)懐かしい歴史の町並み探訪 Vol.6 真壁・筑波山麓(茨城県桜川市/つくば市)

真壁・筑波山麓(茨城県桜川市/つくば市)茨城最大の登録建物数を誇る町並みと筑波山麓の門前町群

歴史に彩られた筑波山麓の町並みを歩く

茨城県といえば、水戸偕楽園や袋田の滝といった観光名所を思い浮かべる人も多いでしょうが、霞ヶ浦と日本百名山の筑波山はご存じでしょうか。日本で二番目の面積を誇る霞ヶ浦とともに茨城県南の象徴である筑波山麓には、たくさんの商家や土蔵の残る真壁と、筑波山参詣の門前町でもある北条・神郡(かんごおり)・上大島という知られざる町並みがあります。今回は東京から日帰りで行ける、歴史に彩られた筑波山麓の町並みを訪ねます。

震災を乗越えて息づく登録文化財の多い真壁の町並み

真壁町は筑波山の西麓にある町で、戦国時代に真壁氏がこの地に城を築き、やがて城下町として栄えるようになりました。現存する町割の基礎は、その頃に築かれたものといわれています。江戸時代になると町の大半は笠間藩領となり、江戸中期には商業の町として発展していきました。商業の軸となったのは筑波山麓から下館や真岡(栃木県)にかけて盛んだった木綿産業で、繰綿や木綿を扱う在郷商人が大勢いたそうです。

真壁の主な産業は窯業・鋳物・酒造・製粉などで、そのほとんどは江戸時代末期までに土着産業として成長しました。陶土器や鋳物生産は桜川流域の砂質粘土の産出により、およそ800年前から行われていたといわれています。また、明治時代までは「真岡木綿」の産地として定期市が開かれ、真壁・筑波郡一帯の縞木綿の集散地として栄えました。大正時代になると、花崗岩の産地として発展していきます。

江戸から明治・大正時代に栄えた真壁町には、蔵や門などの歴史的建造物が現在も数多く息づいていています。その中には国の登録有形文化財も含まれており、1つの町としては日本で最多の99棟が指定されています。真壁町は町をあげての町並み保存に取り組んでおり、平成22年6月には県内初となる国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されました。

平成23年3月に発生した東日本大震災では、屋根瓦が落ちたり壁が崩れたりするなど多くの家屋が被害を受けましたが、町を挙げての復興でかつての姿を取り戻しつつあります。

また、平成15年からは町おこしの一環として「真壁のひなまつり」を実施。毎年2月になるとおよそ160軒の家でお雛様が飾られ、大勢の観光客でにぎわいます。

真壁の歩き方

  • 真壁の古い町並みは中心部の北西にある市営・高上町駐車場から、高上町通り~御陣屋前通り~下宿通り~見芽(みめの)通り~新宿通り~御陣屋前通りと一周する基本コースで、主だった歴史的建造物を見ることができます。
  • 町並みの歴史を知るには御陣屋前通りの東側、真壁本陣跡にある「真壁伝承館歴史資料館」で予習することをお勧めします。
  • 時間があれば真壁城跡の古城コース、谷口家や大森家のある桜井地区コースも訪れてみましょう。
  • 真壁の重要伝統的建造物群保存地区看板
  • 伊勢屋旅館
  • 商家・潮田家
  • 御陣屋前通りの案内看板
  • 御陣屋前通りの土蔵
  • 板張り総二階建ての橋本旅館
  • 石積み土蔵
  • 古城地区の味噌醤油製造・鈴木醸造
  • 板塀が続く通り
  • 大きな長屋門を構える谷田部家
  • 真壁の中心地に建つ村井醸造
  • 薬医門と黒板塀をもつ市塚家
  • 高上町通りの三輪家見世蔵
  • 旅籠・ふるかわ
  • 旧家・中村家
  • 旧家・谷口家店舗と袖蔵
  • 谷口家石蔵
  • 震災の爪跡も残る真壁の町並み
  • 被災した建物の修復状況の写真
  • 真壁城址

筑波山信仰で賑った筑波山麓の門前町

関東名山のひとつに数えられる筑波山は標高800m余りですが、男体山・女体山と呼ばれる双耳峰が広い平野からそびえ立っているので、実際の標高よりも大きく見えるため、この地では富士山とともに古くから尊崇されていました。また、筑波神社の御神体として祀られているので、江戸時代には筑波山信仰で多くの参詣者がここを訪れていたそうです。

筑波山の麓にある北条・神郡(かんごおり)・上大島の町並みは、いずれも筑波神社参詣と深い関わりがあり、小規模ながら筑波山の優美な姿が望まれる魅力的な町ばかりです。

筑波山の南麓に北条の町場があります。江戸時代、土浦藩がここに陣屋を置いた後、在郷町として商業が発達しました。神郡から南下してきた道との交点には大きな道標が残っており、「これよりつくば道」という文字が彫られています。この追分付近を中心に伝統的な建物が残っています。

北条から北へ、つくば道を辿り、小高い丘を越えると、筑波神社の門前町として栄えた神郡の町があります。江戸時代に旗本陣屋が築かれたため、筑波山に向けて真っすぐに伸びる街道(つくば道)沿いには、黒漆喰に塗られた端正な容姿の町家、板塀を巡らした屋敷などが残っています。ここからつくば道を北に向かうと、筑波神社の一の鳥居や木造の旧筑波山郵便局があり、石段の先に筑波山神社に出ます。

筑波山の西麓にある上大島は、100mほどの街路に旧家が建ち並び、長屋門が連なる町並みが楽しめます。

  • 日本の道百選・つくば道の道標
  • 土蔵の町家を使った北条ふれあい館と北条の町並み
  • 蔵造りの宮本家住宅
  • 筑波山を望む神郡の町家①
  • 筑波山を望む神郡の町家②
  • 筑波山に向かうつくば道沿い蔵造り商家
  • 神郡・田井地区の石蔵
  • 筑波山神社一の鳥居
  • 旧筑波山郵便局
  • 筑波山神社

アクセス

交通
茨城県桜川市真壁
電車
JR水戸線「岩瀬駅」下車、タクシーで約20分
つくばエクスプレス「つくば駅」下車、北部シャトルバス「筑波山口」下車、タクシーで約20分
自動車
北関東道桜川・筑西I.C.より約20分
常磐道土浦北I.C.→国道125号つくば方面→県道41号線(つくば益子線)約40分
問い合わせ先
桜川市観光協会
TEL:0296-55-1159

マップ

真壁
北条・神郡・上大島

関連リンク

Profile

室田 隆 Takashi Murota

1950(昭和25)年、東京都生れ。生保会社に40年勤務。若い頃から古寺・仏像・庭園が好きで京都・奈良・滋賀を中心に古寺を訪ねる。単身赴任で神戸に勤務した折、「西国三十三カ所観音巡礼」を満願。その後、全国の古刹で美しい仏像と名庭園を巡る。
最近は「歴史を感じる懐かしい古い町並・集落探訪」をライフワークとして位置づけ、1000カ所以上の古き良き町家や町並・農漁村集落を訪問。その維持保存にも思いをはせる日々。
また、「古城・城跡巡り」、「街道歩き」、「枝垂れ桜の名木巡り」、「東京の坂歩き」などを並行して取り組む。旅の手段は車でなく公共交通機関を使った旅のため、「ローカル線の鉄道旅」や「温泉巡り」、「地酒行脚」も旅の友として楽しむ。